CAST Q&A
昆虫
Q.意気込みを教えてください。
今回の私の役どころは、背中で語るナイスガイ。そのために、家を出る時に親が「何かあった時に使え」とくれた百万円を、背中にスピーカーを埋め込む改造手術につぎ込みました。いいんです。今回が「その時」なのですから。
Q.演劇を始めたきっかけは?
5歳の頃、花見客でごった返す春の上野公園で親とはぐれた時、声をかけてきたおじさんに「独りでも生きていけるように」とお芝居を教え込まれました。一ヶ月ほどはストリートで小銭を稼いでおじさんからご飯をもらっていましたが、その生活はおじさんが逮捕されたことで唐突な終わりを迎えました。おじさんが「動物園でパンダを見せてやる」と約束してくれた日でした。警察署で食べたキツネうどんの味は今でも忘れられません。
Q.演劇でこだわっていることは?
演技をするということ即ち「騙す」ということです。騙すのは、目の前のお客さんだけではありません。一番騙さなければいけないのは自分の身体です。ですが私は中学校の頃、市バスを子供料金で乗り回しているのが教師にバレた折、罰として鏡に向かって毎朝百回「人を騙すのはいけないことです」と叫ぶことを強いられた経験から、「騙す」という行為が恐怖とセットで刷り込まれてしまっています。稽古後の夜はいつも気が狂いそうです。
Q.『ビタースイートクリスマス』の稽古はどうですか?
とても楽しいです。職場では勤務時間の七割をトイレで漫画を読んで過ごしている私ですが、稽古はとても楽しいので漫画を読んだりしません。
Q.aubeという団体に期待することは?
団員としては、絶え間なく、大きくても小さくても、どんな物でもどんな角度でも、何かしらを常に発信し続けている団体であってほしいなあと思っています。
Q.あなたの役をネタバレ抜きで教えてください。
頑固一徹、ただひとつのものにズレた情熱を燃やし続けた生き様を、とくとご覧ください。
Q.あなたにとってオトナって?
この質問に答えが出せない人のこと。
Q.クリスマスの甘い/苦い思い出を教えてください。
彼はトウモロコシを好んで食べます。前の連休に実家に帰った折、家族にはコンビニに行くと偽って茹でたトウモロコシを持っていってやりました。彼はトウモロコシを食べるとき、いつもうわ言のように呟きます。「明日は、パンダを見せてやるからよ」彼にその言葉の意味がわかっているのか、私には窺い知ることができません。それでも、私が流した涙だけは本物だったと、トウモロコシ畑を見るたび思います。